浪速のキザ男が、日本制覇を賭けて東北に進出してきた。東日本は蕎麦ばかりで辟易していた彼は、そこで稲庭うどんを発見して驚喜した。東日本の拠点はここにするしかない!
浪速のキザ男はさっそく、浪速から配下を呼び寄せて稲庭シティを取り囲んだ。
「大人しく降伏して軍門下れ! さもなくば攻撃する!」
さっそく人望のある古老が使者としてとなって、浪速の男を訪れた。さっそく交渉が行われたが、古老の訛りはきつく、サッパリ意味が分からなかった。
「おい、そこの若いの。この地方の訛りはこんなにきついのか?」
「おたくの訛りもやたらきついじゃないですか。ここで、その方言は通じませんよ」
浪速のキザ男は、稲庭シティへの進出を諦めた。
(遠野秋彦・作 ©2012 TOHNO, Akihiko)